保存メディアが信用できない

VHSとベータの時代から始まるような気もするし、8トラックから始まるようでもあるし、たった30年間の間に、いかに「保存メディア」に翻弄されてきたか。映画やムービーをメディアに保存するのはもうたくさんだ、この際、DVDをはじめ、何も信用できない。


というのも、8mmハンディカム、DVminiハンディカム、それからレーザーディスク、と購入した機器はことごとくある日突然に壊れ、後には見ることのできないテープ類だけが僕の手元に残っているからだ。


であるならば、youtubeにでも動画をアップしたほうが、よほど安心であるかも知れない。と思うようになった。10年後もアップした動画はyoutubeにあるかどうか、という確率は、今主流となっている保存メディアが、10年後も存在しているかの確率よりも高いかも。


保存メディアのことを信用しろ、という方が無理な話だ。信用できない。


そんなことを思いつつ、カメラの北村に古くなったメディアのダビングサービスを頼むことにした。全部で6本。DVD120分の移し替えが1400円程度で、6本だから、合計1万円ほどだ。


頼んだ後で、客から預かったテープをDVDにダビングすることを職業にしている人のことを、ちょっと考えてみた。


ぼくの30年はたいしたことのない歳月の記録だが、それにしたって、赤ん坊は中学生になり、新妻はおばさんになり、そんな家族の記録を何百、何千と日々見ている人がいるのだ、と想像すると、毎日、違った「連続テレビ小説」を見ているようだろうな、と思う。彼に同情を禁じ得ない。


というか、きっと彼は「日々を大事に生きよう」とか「まわりの皆と一緒にいることが、それが平凡な幸せなんだ」みたいな感覚にとらわれるだろうな。